狂武蔵 死地を突き抜け 万里一空
狂武蔵77分、400人の立ち切りを見た。殺陣と分かっていても苦しく疲弊する。いつまで続く闘いなのか、これは無限地獄なのかと。
開始5分で指が折れたという。両脇を体側に軽く締め、巻き打、巻き払を続ける。腕には力が入らず、握力も相当奪われているはず。アドレナリンが出ているとは言え、手の内は柔らかく、刀を右左に持ち替え、廻し、刀を落とす事もなく、鉢を割り、胴を薙ぎ、足を払う。
柄の間、用意周到な武蔵が戦場となる一乗寺の各所に隠して仕込んだ竹水筒で口を濯ぎ、刀を取り替え水をさし目釘を締めて、新たな相手に向かう。
刃こぼれ、折れた刀は捨て、相手の刀をうばいとり、時に二刀になり、時に投げ付け、時に螺旋に廻し斬り、動き続ける。見ているだけでも喉が乾く。
この死闘の収録後、TAKさんは、刀を手にするだけで吐き気がするようになったという。しかも、武蔵は嫌いだという。TAKさんは正直だ。
また、二人の監督も、この作品を成仏させよう、拓さんの呪縛を解放しようという思いで作ったと言う。
7年後の設定で、忠助(山崎賢人さん)と立ち合う武蔵の佇まいは、忠義も大義もなく、ただただ武士を貫き通すという一点を見失わずに静かに、凄味を増して突き抜けた感があり、まさに、「空は一つしかないのであるから、何をしてもどこまで行っても同じ世界がある」という『万里一空』の境地を体現したかのような雰囲気を醸し出してました。
坂口TAKさんの思いと、映像の一部は、こちらから⤴︎。
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