#竹内流備中伝 #日本人の座り方 2 #2021.1.29

日本人の座り方について、更に読み進めると座り方にも奥深いものがある事に気付く。
明治時代に正規の座り方とされた正座以外にどんな座り方があったかを見ると、次のように分類される。
竹内流備中伝においては、一部の礼法や型の始終は正座であるが、型の中での座り方としては、両跪座、蹲踞、片跪座を多用する。また、安座、横坐、片立膝などに近い座り方もある。
正座では親指を重ねて座るのが一般的であるため、下記の真の正座と行の正座の中間になるか。
作州居合の小手返では、正座から左膝を90度左に開き、左尻を左踵に乗せたまま、右足を下記の安座のように崩して、右足裏を股間前に出す形で座り直し、剣を抜いて相手の籠手を制した後、左足を立てて、剣を左体側で回して、籠手まで斬り下げる。
即ち、小手返では、畳立膝と安座を組み合わせたような座り方から動作が始まる。
何故、右足を安座のようにするかというと、相手の緊張を解くためであり、
何故、左尻を左踵の上に置くかというと、
直ぐに左足を立てるため、
と言うことになる。
その点、跪座は正座の状態からよりも動きやすい。作州居合では打返で、前後の相手を撃つ場合の準備動作になっている。
片踵坐は、小具足腰之廻などでは、立居から座居に移行する場合、正座に移行する場合には、もれなくこの座り方を経由する。
蹲踞は、剣術、棒術などの礼法のほか、備中居合の置刀など型の中にもこの座り方が出てくる。
正座偶像論にあったように、正座は明治時代以降に正しい座り方と規則づけようとされただけで、江戸時代までは、茶室に於ける座り方も、適時かえながらゆるりと時間を過ごしていたことがわかる。本来、リラックスを本意とする喫茶の場であればなおさらである。
長谷川等伯は、千利休の日頃の立居振る舞いを肖像画に込めたに違いない。
胡座よりも安座の方が腰に負担がかからない。
男性は袴の下で足を崩す事ができるように、
女性も着物の裾の下で足を崩していた。
僧侶も女性も立膝をしている。
膝は肘掛け(脇息がわり)になる。
板張りの床に座る時などには、立膝がたしかに便利。
蹲踞は、勝利力士が土俵上で、懸賞金を受け取る時に、蹲踞して右手で「心」の字を切る動作とか武道の稽古や演武では、お目にかかる。
屋外で、踵の上に座る蹲踞や跪座は現在でも見られる。
武士のしゃがみ立膝(ヤンキー座り)が写真にあったというのも驚きであるが、あまり見栄えしない。背筋が弱っていたのだろうか、リラックスしていたのだろうか。

座り方ひとつで印象は変わるが、整えるべきタイミングと崩していいタイミングは、場に応じて行われていたのは、今も昔も変わらないと言う事か。
整える、かしこまる、つくばうという所作は、上位者に対する身体的な記号という見方もよくわかる。
竹内流備中伝のさまざま型に残されている座り方には、それぞれに機能性を伴った意味がある。また、日常生活や仕事をする時にも、より合理的な理由のもとに、自由度を持って座り方が選択されていることがわかる。
座り方ひとつとっても大切な伝統文化のひとつである事がわかる。

東京 竹内流備中伝 Tokyo takenouchi ryu Bitchuden

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