竹内流備中伝 不動明王のご真言 2019.8.8
竹内流備中伝では、神前で演武する場合などには、般若心経をあげ、諸神仏のご真言を唱える。不動明王のご真言もそのひとつ。
不動明王は一面二臂で降魔の三鈷剣(魔を退散させると同時に人々の煩悩や因縁を断ち切る)と羂索(けんさく。悪を縛り上げ、また煩悩から抜け出せない人々を縛り吊り上げてでも救い出すための投げ縄のようなもの)を持つのを基本としている。
剣には竜(倶利伽羅竜)が巻き付いている場合もあり、この事から「倶利伽羅剣」とも呼ばれている。
不動明王の右手に持つ諸刃の剣は、悪行や煩悩を打ち砕く「智慧」を示し、左手に持つ羂索けんさくは、衆生を仏の世界に引き寄せる「慈悲」を示します。
ご真言は、
ノウマクサンダ バザラダン
センダン マーカロシャーダ ソワタヤウンタラタ カンマン
不動明王信仰は、インドや中国ではまりみられず、空海が招来したという説もある。下記サイト参照。
ちなみに、空海が手にしている密教の仏具・五鈷杵は、ゴコショと読み、大陸ではヴァジュラとも呼ばれています。仏教の守護神・帝釈天が持つとされる武器を模した金剛杵(コンゴウショ)の一つです。仏様の五つの智慧(ちえ)を表しています。
一つ目は宇宙そのものが仏様自身であるから宇宙の全てを知っている智慧。二つ目はそのためにどんな事象も仏様は治めているという智慧。
三つ目は全てのものは差別がないことを悟っているという智慧。
四つ目は些細なものごとも全てを知り尽くしているが故に人々の迷いを知っているという智慧。
五つ目は全ての人を救うためにどんなものにも変化し、悟りへ導くための智慧。
五鈷杵はこれら智慧によって己の煩悩という悟りへ近づくための障害を打ち破るとされる仏具です。両端には武器として内側に向かって尖った刃が五本ずつ突き出ています。その強力な魔を払う力は密教の法具として最強のものとされています。弘法大師・空海も修行の際に愛用し、空海の像には右手に五鈷杵を持った姿が多くあります。
五鈷杵は、仏具、法具であり武具ではない。五鈷杵を握る空海の拳も我が方に向けられている。不動明王が持つ諸刃(双刃)の剣も知恵の象徴、法具であり武具ではない。
竹内流備中伝の武具も拳も知恵の象徴として使うことを頭の片隅に置いておきたい。
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